今回の「みんなdeみんわ」は、前回に引き続いて、「とんと昔・上山会」の木村敏子さんの語りを2話、お送りしました。どちらもキツネが人を化かすというお話です。
まず、最初は、「庄屋とキツネ」です。
昔、楢下(ならげ)という地区にはキツネが住んでいて、よく人を化かしては困らせていました。
ところがそこの庄屋さまは、「みんなぼんやりしているから化かされるんだ」と言い、困っている村人たちに取り合ってくれませんでした。ある春のいい天気の日、庄屋さまは上山のまちに用事があって出かける途中、「キツネ壇」と呼ばれるところを通って行くと、キツネが2匹、目の前に現れます。するとキツネたちは、庄屋さまの前でクルクルっと2回ずつまわったかと思うと、いい男といい女に化けたのでした。そこで庄屋さまは、そのキツネが化けた男女のあとを追っていくのですが、男女は小屋に入っていくので、庄屋さまは小屋の前にかかっているスダレの穴から中を覗くと、いきなり何かに蹴られてしまいます。なんとスダレの穴だと思っていたのは馬�の尻の穴で、驚いた馬が庄屋さまを蹴飛ばしたのでした。結局、庄屋さまもキツネに化かされたというわけです。
そんな庄屋さまの様子を見ていた村人が、最後に「いつから庄屋さまは獣医になったんだ?」とからかうところが風刺を感じさせる笑い話です。
キツネの人を化かす能力の高さにスタッフは驚いてしまいました。
村人の話を聞いていれば、庄屋さんはこんなことにならずにすんだのかもしれませんね。
次のお話は、「原口のごんき娘」です。
昔、山で木を切って炭焼きをしては上山のまちに炭を売りに行って暮らしていたおじいさんがいました。あるとき、おじいさんがいつものように炭を売ってきた帰りに牧野(まぎの)のあたりを通りかかると、赤ん坊を背負った子守の娘に会います。おじいさんは娘に「どこの子守だ?」と聞きます。すると、娘は「原口のごんきの家の娘だ」と答えます。「ごんきとはどの家だろう」とおじいさんは思いながらも、娘が荷物を持っていたので、それを背負ってあげて、一緒に道を歩いていきます。そして、原口の地蔵さまのところでおじいさんと娘は別れて、荷物も娘に返したのですが、家に帰ってみたらなんとおじいさんはお地蔵さまを背負ってきたのでした。おばあさんは、「キツネにだまされたんだろう」とおじいさんを叱ります。翌日、おじいさんはお地蔵さんを返しに行ったのでした。
さて、最初の話もそうですが、キツネに化かされる話では、化かされた人がまったく気づかずにまるで催眠術にでもかかったように騙されています。
それで、アリちゃん、ツンちゃん、マルちゃんの3人は「どうやったらキツネに騙されないのか」ということで「キツネの窓」というマジナイを紹介していました。(このオマジナイについて、詳しいことは、常光徹『しぐさの民俗学』(ミネルヴァ書房)に載っていますので、興味のある方はご覧ください)
イラストがちょっと怖い・・・・
次回は、6月13日の放送。河北町の「紅の里・昔語りの会」のみなさんの語りを取材してお送りします。お楽しみに‼
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