今月紹介した民話は、河北町交流館「遊蔵(ゆっくら)」で行われた「紅の里昔語りの会」でお聴きしたお話しの中から、茨木久美さんの語りで、「見るなの座敷」を紹介しました。
【あらすじ】
昔、ある村に畑で物を作って暮らした若者がいました。
花も咲かず、実もならなくなった梅の木を切ってしまおうと考えていると、美しい娘が表れて「その梅の木を切らないでおくれ。」と言います。
若者が木を切らないことを約束してくれたお礼に、娘は若者を自分の家に招待します。
ごちそうをふるまわれ、嬉しくなった若者は家に帰るのも忘れて、娘とそこで暮らすようになりました。
月日が流れ、3年が過ぎたある日。
娘が「出かけるので留守番をしてくれ。退屈になったら奥の12月の座敷を見てください。ただし、2月の座敷だけは絶対にみてはなりませんよ」といいます。
退屈になった若者は、2月以外の1月から12月までの座敷を覗くと、それぞれの季節の行事の様子が見えました。
12月の座敷まで見ると、どうしても2月の座敷も覗きたくなった若者が、2月の座敷を覗くと花が咲いた梅の木と一羽のウグイスと巣がありました。
ウグイスが飛び去ると娘が現れ、「実は自分はウグイスで、もう少しであなたと私のヒナがかえるところだったのに」と言って、娘はウグイスの姿になり飛んで行ってしまいました。
屋敷も消え、気が付くと若者は畑にぽつんと立っていたというお話しでした。
見るなと言われると、どうしても見たくなるのが人間の心理。
約束を破って、大切な人を失わないように気を付けたいものです。
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